2026年9月、外国人材の採用現場で「引き抜き合戦」という言葉がこれまで以上に重みを持ち始めています。特定技能1号の外食業分野で受入れが停止されたことを受け、限られた人材をめぐる企業間の競争が地方を中心に激しさを増しているとの報道が相次いでいます。採用の入口が狭まったいま、企業に問われているのは「どう集めるか」よりも「どう残ってもらうか」です。

インドネシア人材と日本企業の面談風景

受入れ停止が示した「蛇口は閉まる」という現実

外食業の受入れ停止は、飲食店の約45%が事業計画への影響を認めるという調査結果が示すとおり、単一分野にとどまらない衝撃を与えました。介護業界からも「対岸の火事ではない」という声が上がっています。制度は人手不足を埋めるために設計されたものですが、政策判断ひとつで受入れの蛇口は絞られ得る。この前提に立った採用計画が、いまあらためて必要になっています。

一方で、外国人労働者数は257万人と過去最多を更新し、平均給与も前年比6.4%増の月29.2万円まで上昇しました。人材が減ったのではなく、獲得コストが上がったというのが実態です。賃金だけで競い合えば、体力のある企業に人が流れます。地方の中小企業ほど、賃金以外の勝ち筋を持つ必要があります。

「引き抜かれない会社」に共通する三つの実務

第一に、入国前後の情報の一致です。求人票で説明した仕事内容・給与・寮の条件と実際の職場が食い違えば、その瞬間から転職先を探し始めます。母国語での事前説明と来日直後の生活オリエンテーションを丁寧に行う企業ほど、定着率は高くなります。

第二に、キャリアの見通しです。政府は特定技能2号について在留5年の要件を来年1月に施行する方針を示しています。「この会社にいれば2号に進める」「日本語試験の受験を会社が支援してくれる」という道筋が見えているかどうかは、目先の月1万円の差より重く働きます。

第三に、相談できる窓口の存在です。北海道の農場で特定技能のミャンマー人男性が暴行被害を訴えた事案や、技能実習生への賃金不払いによる書類送検など、深刻な事例の報道が続いています。多くの企業には無縁の話であっても、働く側は同じニュースを母国語のSNSで共有しています。「困ったときに誰に言えばいいか」が明確な職場は、それだけで選ばれる理由になります。

インドネシア人材という選択肢

受入れ国の分散も、リスク管理として現実的な打ち手です。インドネシアは人口2.8億人・平均年齢30歳前後という若い労働力を抱え、政府も海外就労を後押ししています。日本語学習に前向きな層が厚く、宗教・生活習慣への配慮さえ丁寧に行えば、長期の就労につながりやすい人材群です。

重要なのは、送り出し機関の質と入国後のフォロー体制が一本の線でつながっていることです。採用の瞬間だけを切り取った支援では、この時代を乗り切れません。

おわりに

受入れ停止のニュースは、制度に依存した採用の脆さを可視化しました。裏を返せば、いま定着の仕組みを整えた企業は、次に蛇口が絞られたときも人材を失いません。採用の入口が狭まる時代だからこそ、出口を塞ぐ努力に投資すべきタイミングです。

StarBoardは、インドネシア人材の採用から入国後の生活支援・定期面談までを一貫してご支援しています。お気軽にご相談ください。