2026年4月、日本の外国人材政策は静かに、しかし大きく動きました。一つひとつのニュースは個別に報じられていますが、並べてみると採用実務の前提条件がほぼ全面的に書き換わったことが分かります。採用担当の皆様にとって、この1ヶ月の変化を見落とすことは、向こう3〜5年の人材戦略の大きな後れにつながりかねません。

本記事では、2026年5月時点で押さえておくべき国内外の動向を整理し、企業が取るべき次のアクションを提示します。

【日本】2026年4月、4つの制度変更

① 技人国ビザ「日本語要件」が4月15日から本格運用

出入国在留管理庁は、技術・人文知識・国際業務(技人国)ビザの審査基準を改正。対人業務に従事する外国人にはCEFR B2相当(JLPT N2以上)の日本語能力証明が必須となりました。

  • 営業職、施工管理、接客を伴う技術職などが影響
  • BJT400点以上、日本の大学・専門学校卒業者、20年以上の中長期在留者は免除
  • カテゴリ1・2の大企業は実質免除、中小企業ほど採用ハードルが上昇

② 特定技能「外食業」受入停止(4月13日〜)

在留者数が政府上限5万人に到達見込みとなり、新規受入を原則停止。2025年の飲食業倒産は過去30年で初めて1,000件を突破(1,002件)、人手不足倒産は前年比161.9%増という現場の悲鳴の中での判断であり、業界からは強い反発が出ています。

③ 在留資格関連手数料の大幅引き上げ案

入管法改正案で、在留資格変更・更新手数料が1万円→10万円、永住許可手数料が30万円に引き上げられる方針。本人負担に加え、企業が負担する採用・更新コストも10倍化する可能性があります。

④ 育成就労制度、2027年4月1日施行が正式決定

技能実習に代わる新制度。3年間で計画的に育成し特定技能へ移行させるという、帰国前提だった旧制度とは根本的に異なる設計思想。手数料、指導員選任ルール、監理支援機関の許可申請手続きも明確化されました。

加えて、1月23日には政府が2028年度末までの受入上限を123万1,900人(特定技能80万5,700人+育成就労42万6,200人)と閣議決定し、「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野を新たに対象に追加しています。

【海外】世界は「人材の奪い合い」へ突入

国内の制度変更を語る上で、世界の動きを切り離して考えることはできません。日本企業はいま、グローバルな人材獲得競争の渦中にいます。

ドイツ:「Work-and-Stay Agency」新設で受入加速

労働相がビザ・在留許可手続きをワンストップ化する新機関の創設を発表。デジタルプラットフォームで申請書類と当局間連携を集約します。背景には年間40万人の熟練労働者不足という現実があります。

一方で2026年1月からEU Blue Cardの給与基準が€50,700(不足職種€45,934.20)に引き上げられ、「熟練者は歓迎、低スキルは抑制」という方向性が鮮明化しました。

韓国:非熟練枠を縮小、技能・季節労働枠は拡大

雇用許可制(E-9)の非熟練労働者年間枠を2024年の16万5,000人→2025年に13万人へ削減。一方で技能労働者・季節労働者枠は拡大しており、「量から質への転換」が進行中です。日本と同じ東南アジア人材を取り合う最前線の動きとして要注視です。

グローバル:人材不足は「15年で最悪水準」

ManpowerGroupの2026年調査によれば、世界の雇用主の71%が「必要な人材を確保できない」と回答。アジア太平洋・中東地域ではAI人材の需要対供給比が3.6:1と特に逼迫しており、2030年までに世界で8,500万人分の雇用が埋まらないと推計されています。

共通する世界的トレンド:「二極化」と「デジタル化」

主要国の動きを俯瞰すると、3つの共通項が見えてきます。

  1. 「熟練者・専門職」優遇 vs 「非熟練・低スキル」抑制の二極化が世界同時進行
  2. 受入手続きのデジタル化・一元化が競争力の源泉に
  3. 質・専門性・定着性への各国シフトと、量・コスト重視からの脱却

日本もこの潮流の只中にあります。技人国ビザの日本語要件強化、特定技能の停止と同時並行する育成就労制度の整備、そして手数料の大幅引き上げ―これらは個別の政策ではなく、「日本も質重視へ舵を切った」というメッセージとして読み解くことができます。

企業が今取るべき5つのアクション

制度変更を「障害」と捉えるか「戦略の機会」と捉えるかで、5年後の人材ポジションは大きく変わります。

1. 採用要件の前倒し見直し

技人国ビザでN2必須化、特定技能の対象分野変動など、「採用してから育てる」モデルが通用しなくなった分野が増加しています。送出し前の日本語教育投資を含めた採用要件の再設計が必要です。

2. 送出国の多角化、特にインドネシアへの本格シフト

インドネシアは人口2.7億人を擁し政府も10万人の日本派遣を計画。韓国・台湾・ドイツも同じ人材を狙う中で、早期のパイプライン構築が決定的に重要です。

3. 「中核人材」としての処遇設計

特定技能2号への移行支援、家族帯同を前提とした生活環境整備が、定着率を左右する時代に入りました。短期労働力ではなく中長期戦力としての処遇が、選ばれる企業の条件です。

4. 育成就労制度(2027年4月開始)への先行準備

監理支援機関の選定、指導員体制の構築、3年間の育成計画の設計―準備期間は実質1年を切っています

5. コスト構造の再計算

在留資格関連手数料の10倍化を見据えた採用コスト試算が必要です。1人あたりの採用・維持コストが構造的に上がる中で、何人を、どのレベルで、どう確保するかを年単位で再設計してください。

「制度に振り回される側」から「制度を読み解く側」へ

外国人採用は、もはや人事部門だけの課題ではありません。経営戦略の中核として、世界の労働市場を読み解きながら設計する時代に入りました。日本の制度変更を国内の事情だけで見るのではなく、ドイツや韓国の動きと並べて読み解くことで、自社の人材戦略の立ち位置が初めて見えてきます。

StarBoardが選ばれる理由

StarBoardは、インドネシアの有力大学との独自パートナーシップを通じて、質の高い人材を厳選してご紹介しています。独自マッチングサービス「MyStar」、採用前からの日本語教育、採用後の生活支援・定着フォローまで一貫してサポート。2026年の制度激変期だからこそ、長期視点での採用戦略設計が問われます。貴社の外国人採用戦略の見直しを、StarBoardがお手伝いします。まずはお気軽にご相談ください。


参考情報

  • 出入国在留管理庁:技人国ビザ日本語要件改正(2026年4月15日施行)
  • マイナビグローバル「2026年版 外国人雇用&特定技能ニュース」
  • 厚生労働省:外国人雇用状況届出(2025年10月末時点 257万人)
  • InfoMigrants「Germany: Skilled workers welcomed, integration tightened」
  • ManpowerGroup「2026 Global Talent Shortage Survey」
  • OECD「International Migration Outlook 2025」