日本とインドネシアのZ世代は、同じ若者でも仕事観が大きく異なります。本記事では、日本で働きたいインドネシア人が増えている背景や価値観の違いを比較し、外国人採用を成功させるために企業が知っておきたいポイントを、現地での面接経験を交えながら解説します。

この記事の結論

  • 日本のZ世代は、ワークライフバランスや働きやすさを重視する傾向があります。
  • インドネシアのZ世代は、「成長できる環境」や「将来のキャリアにつながる経験」を重視する傾向があります。
  • 外国人採用を成功させるためには、給与や待遇だけではなく、「この会社でどのように成長できるのか」を伝えることが重要です。

「最近の若者は働きたがらない」は本当なのか?

「最近の若者は出世したがらない。」

そんな話を耳にする機会が増えました。

実際、日本では「管理職になりたくない」「責任を負いたくない」「仕事よりプライベートを優先したい」と考える若者が増えているという調査結果があります。

一方で、私たちがインドネシアで採用面接を行っていると、まったく違う価値観に出会います。

「日本で介護福祉士の資格を取りたい。」
「製造業で品質管理を学びたい。」
「将来は自分の会社を立ち上げたい。」

彼らは、日本で働くことをゴールではなく、「成長するためのステージ」と考えているのです。

もちろん、すべてのインドネシア人が同じ価値観を持っているわけではありません。しかし、多くの若者と面接を重ねるなかで感じるのは、「日本で働く意味」を真剣に考えている人が非常に多いということです。

近年、日本では深刻な人手不足を背景に外国人採用が急速に進んでいます。しかし、採用活動を成功させるには、単に人材を確保するだけでは十分ではありません。

応募者がどのような価値観を持ち、なぜ日本で働きたいと考えているのかを理解することが、採用後の定着や活躍にも大きく影響します。

今回は、日本とインドネシアのZ世代の仕事観を比較しながら、企業が知っておきたい外国人採用のヒントを、現地での採用経験を交えてご紹介します。

インドネシア人Z世代の仕事観とは?「ハングリーだけどスマート」という新しい価値観

結論:インドネシアのZ世代は、「たくさん働くこと」よりも「成長につながる働き方」を重視しています。

「海外の若者はハングリー精神が強い。」

そのようなイメージを持つ方は多いかもしれません。

しかし、実際にインドネシアで多くの若者と面接をしていると、その印象は少し違います。

彼らは向上心があり、将来への目標も明確です。しかし、そのために「がむしゃらに働く」のではなく、「自分の市場価値を高める仕事」を選ぼうとしています。

例えば、副業(サイドハッスル)は珍しいものではありません。ECサイト「Tokopedia」や「Shopee」で商品を販売したり、TikTok Shopのアフィリエイトを行ったり、デザインやライティングなどのフリーランス業務に挑戦したりと、複数の収入源を持つ若者も増えています。

また、「会社に縛られない働き方をしたい」という点では、日本のZ世代とも共通しています。

しかし、その背景にある動機には大きな違いがあります。

日本とインドネシアのZ世代は何が違うのか

日本でも「働き方改革」や「ワークライフバランス」が浸透し、仕事だけを人生の中心に置かない価値観が広がっています。

管理職にはなりたくない。責任が重くなるなら昇進は望まない。

その背景には、長時間労働や仕事中心の働き方を見て育ったことがあります。つまり、「自分を守るため」に働き方を選ぶ傾向があると言えるでしょう。

一方、インドネシアの若者もブラック企業では働きたくないと考えています。

しかし、その理由は少し違います。私たちが現地でよく耳にするのは、

「もっとスキルが身につく会社へ行きたい。」
「将来につながる経験ができる仕事を選びたい。」

という言葉です。つまり、仕事を避けたいのではなく、「成長できる仕事を選びたい」という考え方なのです。

この違いは、外国人採用を考える企業にとって非常に重要なポイントです。給与だけではなく、「この会社で何を学べるのか。」「5年後、どのようなキャリアを描けるのか。」ここを明確に伝えられる企業ほど、意欲の高いインドネシア人材から選ばれやすくなります。

比較表|日本とインドネシアのZ世代の仕事観

比較項目日本のZ世代インドネシアのZ世代
仕事の目的安定した生活・ワークライフバランス成長・スキル習得・キャリア形成
昇進への考え方管理職には慎重な人も多い成長の機会として前向きに捉える人が多い
副業収入補完・趣味・自己実現起業準備・収入源の多様化
転職理由働きやすい環境を探すより成長できる環境を求める
日本で働く理由国内でキャリア形成技術・日本語・専門知識を学びたい
企業に期待すること柔軟な働き方・福利厚生教育制度・キャリアパス・資格取得支援
共通点「意味のある仕事をしたい」という価値観は共通

表現は異なりますが、「自分の人生にとって意味のある仕事をしたい」という価値観は、日本もインドネシアも共通しています。

なぜインドネシアの若者は日本で働きたいのか

結論:給与だけではなく、「成長」「キャリア」「将来への投資」が日本で働く大きな理由になっています。

「インドネシア人は日本の給与が高いから来る。」そのように考えられることがあります。

もちろん、収入は重要な理由の一つです。しかし、実際に面接を重ねていると、それだけでは説明できない志望動機を数多く耳にします。

「介護福祉士の資格を取得したい。」
「日本の製造業で品質管理を学びたい。」
「帰国後は自分の会社を立ち上げたい。」

彼らにとって、日本で働くことは人生のゴールではありません。将来のキャリアを切り拓くための「投資」なのです。

だからこそ、日本企業がインドネシア人材を採用する際には、「給与はいくらか」だけではなく、「この会社で何を学べるのか」を伝えることが重要になります。

SNSが変えた「日本で働く」という夢

ここ数年、インドネシアではTikTokやYouTubeの影響力が急速に高まっています。日本で働くインドネシア人が発信する動画は、多くの若者にとって「日本で働く未来」を身近に感じさせる存在になっています。

コンビニで働く一日。日本の四季。初めて見る雪。日本語学校での生活。こうした動画は、日本への憧れを育てるきっかけになっています。

一方で、SNSには華やかな面だけが映ることも少なくありません。税金や社会保険料、生活費、日本語能力の壁、文化の違いなど、実際に働き始めて初めて気づく課題もあります。

企業側も送り出し機関も、「期待」だけではなく「現実」を丁寧に伝えることが、定着率の向上につながる重要な役割だと考えています。

「FOMO就職」が生む新たな課題

結論:日本への憧れが強まる一方で、十分な情報を得ないまま就職を急ぐ若者も増えています。

近年、インドネシアでは「FOMO(Fear of Missing Out=取り残されることへの不安)」という言葉が若者の間で広く使われています。

友人が日本へ行った。SNSで日本で働く動画が流れてくる。「自分も早く行かなければ。」

そんな焦りから、日本語能力や仕事内容を十分に理解しないまま来日を希望するケースも見受けられます。

しかし、日本で働くことはゴールではありません。日本語を学び、日本の職場文化を理解し、長く活躍するための土台を作ることが、本人にとっても受け入れ企業にとっても重要です。

だからこそ、採用前の情報提供は非常に大切です。

  • どのような生活になるのか
  • 日本語はどの程度必要なのか
  • どのようなスキルが身につくのか
  • 将来どのようなキャリアが描けるのか

こうした情報を丁寧に伝えることが、採用後のミスマッチを減らし、定着率の向上にもつながります。外国人採用は「採用して終わり」ではなく、「来日前から始まっている」と言えるでしょう。

日本企業がインドネシア人材から選ばれるために必要なこと

結論:外国人採用の成否は、給与ではなく「この会社で成長できる」と思ってもらえるかどうかで決まります。

私たちはこれまで、多くのインドネシア人材と面接を重ねてきました。その中で年々増えているのが、将来のキャリアに関する質問です。

「資格取得は支援してもらえますか。」
「リーダーになるチャンスはありますか。」
「日本で学んだことは帰国後にも活かせますか。」

こうした質問は、単に就職先を探しているのではなく、「どのような人生を歩める会社なのか」を知りたいという思いの表れです。

日本企業の採用担当者も、「給与」「休日」「福利厚生」を説明するだけではなく、

  • 入社後にどのようなスキルが身につくのか
  • キャリアアップの仕組みはあるのか
  • 資格取得をどのように支援しているのか

といった「成長のストーリー」を伝えることが求められています。これはインドネシア人材だけでなく、日本の若手人材にも共通する価値観ではないでしょうか。

外国人採用は「人手不足対策」ではなく「組織改革」のチャンス

外国人採用についてお話しすると、「人手不足だから採用する」という声をよく耳にします。もちろん、それは大切な理由です。

しかし、私たちは外国人採用にはもう一つの大きな価値があると考えています。それは、「組織を見直すきっかけになること」です。

異なる文化や価値観を持つ人材が加わることで、これまで当たり前だと思っていたことを見直す機会が生まれます。

  • 教え方は分かりやすいか
  • 評価基準は明確か
  • キャリアパスは見える化されているか
  • 日本語だけに頼ったコミュニケーションになっていないか

こうした課題は、外国人社員だけではなく、日本人社員にとっても働きやすい職場づくりにつながります。

実際、外国人材の受け入れをきっかけに、教育マニュアルを整備したり、評価制度を改善したりした企業も少なくありません。つまり、外国人採用は「不足を補う手段」ではなく、「組織そのものを成長させる機会」とも言えるのです。

日本とインドネシア、二つのZ世代に共通する価値観

ここまで、日本とインドネシアのZ世代の違いを見てきました。

日本の若者は、「意味のない仕事はしたくない。」と言います。
インドネシアの若者は、「意味のある仕事を自分で選びたい。」と言います。

一見すると正反対のように聞こえるかもしれません。しかし、その根底にある問いは同じです。

「この仕事は、自分の人生にとってどのような意味があるのか。」

給与や福利厚生だけではなく、仕事を通じて何を学び、どのように成長できるのか。その答えを求めている点では、日本もインドネシアも変わりません。

だからこそ、企業は「働いてもらう」という発想ではなく、「ともに成長する」という姿勢が求められているのではないでしょうか。

現地で採用を続ける中で感じること

私たちは日々、インドネシア各地で若者と面接を行っています。そこで感じるのは、日本に対する期待の大きさです。

「家族を支えたい。」「専門技術を身につけたい。」「日本語を学びたい。」「将来は起業したい。」

夢は人それぞれですが、その一つひとつに真剣な思いがあります。

一方で、日本企業には世界に誇れる技術や品質管理、人材育成の仕組みがあります。この両者が出会い、お互いに成長できる関係を築くことができれば、日本の人手不足という課題を解決するだけでなく、新しい価値を生み出すことにもつながるはずです。

私たちStarBoardは、その橋渡し役でありたいと考えています。

まとめ

インドネシアのZ世代は、日本で働くことを「出稼ぎ」ではなく、「将来への投資」と考える人が少なくありません。給与だけではなく、日本語や専門技術、仕事への姿勢を学び、自分自身の市場価値を高めたいという思いが、日本を選ぶ大きな理由になっています。

一方、日本のZ世代もまた、「意味のある仕事」を求めています。価値観の表れ方は異なりますが、「自分らしく成長したい」という本質は共通しています。

外国人採用を成功させるためには、給与や待遇だけでなく、「この会社でどのような未来を描けるのか」を伝えることが欠かせません。人材を採用することは、組織を見直し、より良い会社へと成長するきっかけにもなります。

その視点を持つ企業こそが、日本人・外国人を問わず、これからの時代に選ばれる企業になっていくのではないでしょうか。

よくある質問(FAQ)

Q1. なぜインドネシア人は日本で働きたいのでしょうか?

給与水準だけでなく、日本で専門技術や日本語を学び、将来のキャリアにつなげたいという理由が多く見られます。製造業や介護、建設業などで経験を積み、帰国後に日系企業へ転職したり起業したりすることを目標にする人もいます。

Q2. インドネシア人材は長く働いてくれますか?

個人差はありますが、キャリア形成や成長機会を重視する傾向があります。仕事内容や教育体制、将来のキャリアパスが明確な企業ほど、定着率の向上が期待できます。

Q3. 外国人採用で企業が最も重視すべきことは何ですか?

給与や福利厚生だけではなく、「どのように成長できるか」を具体的に示すことです。教育制度や資格取得支援、評価制度などを分かりやすく伝えることで、企業への信頼感が高まります。

Q4. インドネシア人材を採用するメリットは何ですか?

人材不足への対応だけでなく、組織の多様性が高まり、教育体制や評価制度を見直すきっかけになります。結果として、日本人社員にとっても働きやすい職場づくりにつながるケースがあります。

StarBoardからのご案内

インドネシア人材の採用は、単に人材を紹介するだけでは成功しません。応募者一人ひとりがどのような将来を描き、何を学びたいと考えているのか。その価値観を理解し、企業側も成長の機会を提供できるかどうかが、採用後の定着や活躍を大きく左右します。

StarBoardでは、インドネシア現地での採用活動から、来日前の日本語教育、日本就業後のフォローまで、一貫したサポートを行っています。

「インドネシア人材の採用を検討している」「自社に合った採用方法を知りたい」という企業様は、お気軽にご相談ください。

出典・参考資料

日本のZ世代に関するデータ

インドネシアのZ世代に関するデータ

日本語学習者・インドネシア人材に関するデータ