先日、インドネシアからの特定技能候補者とオンライン面接をしていた時のことです。「日本語はどうやって勉強したんですか?」と聞いたら、満面の笑みで「ナルトを見て覚えました!」と返ってきました。

思わず笑ってしまったのですが、実はこれ、珍しい話ではないんですよね。インドネシアの日本語学習者は約71万人で世界第2位。そのうち約7割がアニメや漫画きっかけだそうです。日本に親しみを持って、日本語まで覚えてくれている。これは本当にありがたいことだと感じています。
ただ、彼らが日本を目指す理由は「アニメが好きだから」だけではありません。インドネシアの平均月収は約3.6万円。首都ジャカルタでも最低賃金が月約5.2万円なのに、生活費は月14万円以上かかる。さらに、Z世代の若者約1000万人が失業中という現実があります。「大学を出ても仕事がない」。そんな中で日本は、彼らにとって大きな希望なんです。
最近はインドネシアの送り出し機関を訪問するたびに、候補者たちの目の輝きに胸を打たれます。でも同時に、少し不安も感じるんですよね。インドネシア経済は5.6%成長と好調で、ルピア安の裏で国内の雇用環境も徐々に改善している。韓国は日本より高い給与で外国人材の受け入れ枠を3倍に拡大している。「日本に行きたい」と言ってくれる若者が、10年後もそう言ってくれるだろうか、と。
だからこそ私たちは、「来てくれてありがとう」で終わらせてはいけないと思っています。ちゃんと昇給がある、キャリアアップの道がある、生活面で孤立しない。そういう環境を、受入企業の皆さんと一緒につくっていきたい。ナルトを見て日本語を覚えてくれた若者たちが、「日本に来てよかった」と心から思えるように。