先日、こんなニュースを目にしました。「迫る介護人材不足60万時代 外国人転籍可能な”育成就労”で地方がおびえる都市への流出」(産経新聞)。育成就労制度では、これまでの技能実習と違って働く場所を変えられるようになります。これに対して、地方の介護施設や企業からは「都市部に人が流れてしまうのではないか」という不安の声が出ているんですよね。

日本の介護施設のイラスト

実は先日、北陸地方のある介護施設さんを訪問した時のことです。施設長さんから真剣な顔でこう聞かれました。「ウチはインドネシアから来てくれたカルティニさん(仮名)を本当に大切にしているけれど、3年後に大阪に行きたいと言われたら止められるんでしょうか」と。

私はこうお答えしました。「制度上は止められません。でも、施設長がその不安を口にしている時点で、もう半分答えは出ていると思いますよ」と。

カルティニさんに後日、別の場所で話を聞く機会がありました。彼女は迷うことなく「私はこの町が好きです。施設長さんも、利用者さんも、家族みたいだから」と笑っていました。

地方から人材が流出するかどうかは、制度の問題ではなく、現場の関係性の問題なんだと、私は感じています。給料や立地ではなく、「ここにいたい」と思える空気をつくれる施設が、これからの時代に選ばれていくんだろうな、と。育成就労という新しい仕組みは、私たち受け入れ側に「人を大切にしているか」を改めて問いかけているのかもしれません。